ルーヴルに座る古代エジプトの書記座像解説

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ルーヴル美術館にて仕事中?の、古代エジプトの書記座像。その働く男の姿に惹かれます。展示風景のおススメ動画もご紹介します。

書記座像( Le Scribe accroupi ) 高さ 53.7㎝ × 幅 44㎝ × 奥行 35㎝ 紀元前2620年頃-紀元前2500年頃 ルーヴル美術館蔵
書記座像( Le Scribe accroupi ) 紀元前2620年頃-紀元前2500年頃 ルーヴル美術館蔵

画像の上でクリックまたはタップすると大きい画像が出ます。また、画像の左下にある「引用元」のリンクをクリックしていただければ、元のファイルをご覧になることができます。「引用元」の表示が無いものは、この記事内に掲載したpublic domain の元ファイルから、解説のために必要な部分を拡大したものです。

目次

書記座像( Le Scribe accroupi ) 紀元前2620年頃-紀元前2500年頃

座る姿

書記座像( Le Scribe accroupi ) 高さ 53.7㎝ × 幅 44㎝ × 奥行 35㎝ 紀元前2620年頃-紀元前2500年頃 ルーヴル美術館蔵
書記座像 高さ 53.7㎝ × 幅 44㎝ × 奥行 35㎝ 紀元前2620年頃-紀元前2500年頃 ルーヴル美術館蔵

引用元:書記座像  Ivo Jansch  CC-BY-SA-2.0

ルーヴル美術館公式サイト(お出掛け前には最新状況をご確認ください)

古代エジプト第4王朝に作られた、座る書記像。

エジプトのサッカラから出土しました。

誰の像なのか、名前は残っていません。

発見者は考古学者のオーギュスト・マリエット。

1850年に発掘されましたが、当時の発掘日記が紛失しているため、詳細はわかっていないということです。

本来、この作品は名と称号を記した大きな台座に安置されていたとされるが、台座が消失しているため、モデルとなった人物は不明である。

小池寿子・三浦篤(編著). 『 NHK 8K ルーブル美術館 美の殿堂の500年』. 2021-4-25. NHK出版. p.136.

男性は白い腰布を着け、脚の上にパピルスを置いています。

今にも動き(働き?)出しそうですよね。

『一生に一度は見たいルーヴル美術館 BEST100』によれば、この像は「石灰岩・水晶・マグネサイト・ヒ素含有銅・木」でできています。

書記座像( Le Scribe accroupi ) 高さ 53.7㎝ × 幅 44㎝ × 奥行 35㎝ 紀元前2620年頃-紀元前2500年頃 ルーヴル美術館蔵
書記座像 ルーヴル美術館蔵

引用元:書記座像 Rama CC-BY-SA-3.0-FR CC-BY-SA-2.0-FR

石灰岩に塗装された赤っぽいボディ、胸の乳首は木製とのことです。

背後からもじっくり観てみましょう。

書記座像( Le Scribe accroupi ) 高さ 53.7㎝ × 幅 44㎝ × 奥行 35㎝ 紀元前2620年頃-紀元前2500年頃 ルーヴル美術館蔵
書記座像 ルーヴル美術館蔵

引用元:書記座像 Rama CC-BY-SA-3.0-FR CC-BY-SA-2.0-FR

書記座像が載っている本

『NHK 8K ルーブル美術館』は立派な装丁の255頁、A4くらいの大きさ。厳選された作品、なかなか見応えがあります。

『西洋美術101 鑑賞ガイドブック』はサイズ的にも参考書っぽい。正にガイドブックという感じです。

画像をクリックすると Amazon のサイトに移動します。

NHK 8K ルーブル美術館 美の殿堂の500年 西洋美術101 鑑賞ガイドブック

顔と手

書記座像( Le Scribe accroupi ) 高さ 53.7㎝ × 幅 44㎝ × 奥行 35㎝ 紀元前2620年頃-紀元前2500年頃 ルーヴル美術館蔵
書記座像 ルーヴル美術館蔵

引用元:書記座像 Bradley Weber CC-BY-2.0

この書記座像がとても魅力的、生き生きとして見えるのは、やはりこの瞳の輝きのせいでしょうか。

両目には水晶がはめ込まれています。

真っ直ぐ前を見つめる目は、赤い模様のある白いマグネサイトに水晶がはめ込まれ、入念に研磨されている。

大友義博(監修). 2014-10-12. TJMOOK 『一生に一度は見たい ルーヴル美術館BEST100』. 宝島社. p.91.

また、『西洋美術101 鑑賞ガイドブック』ではこのように記されています。

銅の枠に雪花石膏アラバスタ―、水晶、黒石、銀をはめ込んだ象眼ぞうがんで作られ、これが両眼に生き生きとした印象を与えています。

神林恒道・新関伸也(編著). 2011-12-20. 『西洋美術101 鑑賞ガイドブック』. 三元社. p. 22.
書記座像( Le Scribe accroupi ) 高さ 53.7㎝ × 幅 44㎝ × 奥行 35㎝ 紀元前2620年頃-紀元前2500年頃 ルーヴル美術館蔵
書記座像 ルーヴル美術館蔵

引用元:書記座像

マグネサイト(菱苦土石(りょうくどせき)、方解石グループに属する)
マグネサイト(菱苦土石(りょうくどせき)、方解石グループに属する)

引用元:マグネサイト Didier Descouens CC-BY-SA-4.0

アラバスター(雪花石膏)
アラバスター(雪花石膏)

引用元:アラバスター(雪花石膏) GFDL CC-BY-SA-3.0-migrated

書記座像( Le Scribe accroupi ) 高さ 53.7㎝ × 幅 44㎝ × 奥行 35㎝ 紀元前2620年頃-紀元前2500年頃 ルーヴル美術館蔵
書記座像 ルーヴル美術館蔵

引用元:書記座像 Rama CC-BY-SA-2.0-FR

書記像の目の回りにはアイシャドウが施されています。

古代エジプトでは、この第4王朝の時代を含む古王国時代から、男性も女性もアイシャドウを使用していました。

これは、目から入ってくる悪魔を防ぐという宗教的な意味合いや、眼病を予防するためでした。

しかし時代が下がると、特に女性たちにとっては魔除けの効果より、瞳をより魅力的に見せるためのおしゃれの要素の方が強くなっていきました。

書記座像( Le Scribe accroupi ) 高さ 53.7㎝ × 幅 44㎝ × 奥行 35㎝ 紀元前2620年頃-紀元前2500年頃 ルーヴル美術館蔵
書記座像 ルーヴル美術館蔵

引用元:書記座像 Gautier Poupeau CC-BY-2.0

あしのペンは失われてしまいましたが、なにか書き付けていたようですね。

通常は、右から左へと書いていきます。

書記座像( Le Scribe accroupi ) 高さ 53.7㎝ × 幅 44㎝ × 奥行 35㎝ 紀元前2620年頃-紀元前2500年頃 ルーヴル美術館蔵
書記座像 ルーヴル美術館蔵

引用元:書記座像 Rama CC-BY-SA-3.0-FR CC-BY-SA-2.0-FR

左側から見るとこんな仕草。

働く指さばき?を再現していますね。

書記という職業

書記の像は多く残っていますが、このように仕事中の書記を表現したものは珍しいのだそうです。

古代エジプトの書記とは、現代でいう役人です。

一生懸命勉強し、頑張って就く憧れの職業でした。

現在の会議などで発言等を書き留めたり、秘書のようなものと違って、「文字の知識と技能を有する高級官吏かんり」であって、ここに掲載した書記座像は、

その理想の姿を永遠にとどめようとして刻まれた肖像彫刻です。

神林恒道・新関伸也(編著). 2011-12-20. 『西洋美術101 鑑賞ガイドブック』. 三元社. p. 22.

ちょっとたるみ気味のお腹周り、ちょっと左右非対称な顔の造作。

これらの点が、非常に生身っぽく、「生きている人間」のように見せています。

youtube のおススメ動画『 Au Louvre ! Le scribe accroupi 』

Au Louvre ! Le scribe accroupi

Musée du Louvre 様による、展示風景の動画です。他のお客さんのアタマで見えない、なんてこともなく鑑賞できます( ̄▽ ̄)。

足を組む書記座像( statue de scribe assis en tailleur ) 紀元前2500年頃-紀元前2350年頃 ルーヴル美術館蔵

下の画像は、同じルーヴル美術館にある書記座像です。

こちらは第5王朝時代のもの。

完成度が高いのに、上の書記座像に比べて、どこかおとなしい、平坦な感じがするのは、着色の有無とか用いられている材質(こちらも石灰岩)のせいばかりではない気がします。

やっぱり、眼のせいかな。

足を組む書記座像 高さ 58㎝ × 幅 35㎝ × 奥行 33㎝ 紀元前2500年頃-紀元前2350年頃 ルーヴル美術館蔵
足を組む書記座像 高さ 58㎝ × 幅 35㎝ × 奥行 33㎝ 紀元前2500年頃-紀元前2350年頃 ルーヴル美術館蔵

引用元:足を組む書記像 Rama CC-BY-SA-3.0-FR CC-BY-SA-2.0-FR

ルーヴル美術館公式サイト(お出掛け前には最新状況をご確認ください)

『足を組む書記座像』( statue de scribe assis en tailleur )/ 展示場所:シュリ―翼、335展示室

主な参考文献
  • 大友義博(監修). 2014-10-12. TJMOOK 『一生に一度は見たい ルーヴル美術館BEST100』. 宝島社.
  • アンリ・ロワレット(総監修). 2005-2-6. 『別冊太陽 ルーヴル美術館』. 平凡社.
  • 神林恒道・新関伸也(編著). 2011-12-20. 『西洋美術101 鑑賞ガイドブック』. 三元社.
  • 小池寿子・三浦篤(編著). 『 NHK 8K ルーブル美術館 美の殿堂の500年』. 2021-4-25. NHK出版. p.136.
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