ルイ14世に献上された『アルルのヴィーナス像』

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フランス革命前はヴェルサイユ宮殿に飾られていた『アルルのヴィーナス像』。女神の腕やりんごは17世紀に付けられました。

『アルルのヴィーナス像』( statue ; Vénus d'Arles ) 高さ220cm 幅102cm 奥行き65cm 紀元前1世紀(プラクシテレスのオリジナルは紀元前360年頃) ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』( statue ; Vénus d’Arles ) 高さ220cm 幅102cm 奥行き65cm 紀元前1世紀(プラクシテレスのオリジナルは紀元前360年頃) ルーヴル美術館蔵
目次

『アルルのヴィーナス像』( statue ; Vénus d’Arles ) 紀元前350年頃 プラクシテレス

『アルルのヴィーナス像』( statue ; Vénus d'Arles ) 高さ220cm 幅102cm 奥行き65cm 紀元前1世紀(プラクシテレスのオリジナルは紀元前360年頃) ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 高さ220cm 幅102cm 奥行き65cm 紀元前1世紀(プラクシテレスのオリジナルは紀元前360年頃) ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Rama CC-BY-SA-3.0-FR CC-BY-SA-2.0-FR CeCILL

ルーヴル美術館公式サイト

『アルルのヴィーナス像』( statue ; Vénus d’Arles )

展示場所:シュリー翼、344展示室

気品溢れる麗しい女神像の画像。

細部を見ることができる画像を Wikipedia にアップしてくださった方々に感謝です。引用させていただいたファイルは画像左下に記載しています。

『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Following Hadrian CC-BY-SA-2.0 Photographs by Carole Raddato

この女神像はローマ時代に作られた「模刻」です。

オリジナルは、都市テスピアイの神殿に奉納された、古代ギリシャの彫刻家プラクシテレス( Praxitelēs )の作品だとされています。

『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Darafsh CC-BY-SA-3.0 Photos by Darafsh Kaviyani

『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Marie-Lan Nguyen CC-BY-2.5

『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Marie-Lan Nguyen CC-BY-2.5

『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Alain.Darles CC-BY-SA-3.0,2.5,2.0,1.0

『アルルのヴィーナス像』( statue ; Vénus d'Arles ) 高さ220cm×幅102cm×奥行き65cm 紀元前350年頃 プラクシテレス原作 ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Rama CC-BY-SA-3.0-FR CC-BY-SA-2.0-FR CeCILL

『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Marie-Lan Nguyen CC-BY-2.5

『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Marie-Lan Nguyen CC-BY-2.5

『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Alain.Darles CC-BY-SA-3.0,2.5,2.0,1.0

『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Tangopaso

『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Alain.Darles CC-BY-SA-3.0,2.5,2.0,1.0

プラクシテレスが活躍したのは紀元前4世紀。少年の裸体像や美の女神アフロディテ像を得意としていました。

愛人のフリュネをモデルにした『クニドスのヴィーナス』などが有名ですが、この『アルルのヴィーナス』像はフリュネの依頼だったようです。

ルーヴル美術館展

『アルルのヴィーナス』が表紙になっています。

ルーヴルで観られるプラクシテレスの作品に基づく彫刻

「間違いなくプラクシテレスのオリジナル作品」とされる作品は現存していませんが、多くの複製が存在しています。

『カウフマンの頭部』( statue ; Tête de l’Aphrodite Kaufmann )

アフロディテ頭部 通称《カウフマンの頭部》 高さ34cm 幅22cm 奥行き33cm 紀元前150年頃(プラクシテレスのオリジナルは紀元前360年頃) ルーヴル美術館蔵
アフロディテ頭部 通称《カウフマンの頭部》 高さ34cm 幅22cm 奥行き33cm 紀元前150年頃(プラクシテレスのオリジナルは紀元前360年頃) ルーヴル美術館蔵

引用元:アフロディテ頭部 通称《カウフマンの頭部》 Gary Todd CC-Zero Flickr images reviewed by FlickreviewR 2

ルーヴル美術館公式サイト

カウフマン( Kaufmann )はこの像の元所有者の名前。

紀元前150年頃に作られたこの女神像は、『クニドスのアフロディテ』(または『クニドスのヴィーナス』)の模刻のひとつとされています。

ギリシャ神話の美の女神アフロディテは、ローマ神話ではヴィーナスです。

『クニドスのアフロディテのトルソー』( statue ; Aphrodite de Cnide )

『クニドスのアフロディテのトルソー』 高さ121cm 幅47cm 奥行き39cm 100年-200年?(プラクシテレスのオリジナルは紀元前360年頃) ルーヴル美術館蔵
『クニドスのアフロディテのトルソー』 高さ121cm 幅47cm 奥行き39cm 100年-200年?(プラクシテレスのオリジナルは紀元前360年頃) ルーヴル美術館蔵

引用元:『クニドスのアフロディテのトルソー』 Jean-Pol GRANDMONT

ルーヴル美術館公式サイト

『クニドスのアフロディテ』の艶めかしいトルソーです。

『クニドスのアフロディテ小像』( statuette )

『クニドスのアフロディテ小像』( statuette ) 身長42cm 幅16cm 奥行き11cm ローマ帝国時代(プラクシテレスのオリジナルは紀元前360年頃) ルーヴル美術館蔵
『クニドスのアフロディテ小像』 身長42cm 幅16cm 奥行き11cm ローマ帝国時代(プラクシテレスのオリジナルは紀元前360年頃) ルーヴル美術館蔵

引用元:『クニドスのアフロディテ小像』( statuette )

ルーヴル美術館公式サイト

『クニドスのアフロディテ小像』( statuette )

展示場所:シュリー翼、344展示室

脱いだ衣を手に持ち、もう一方の手で前を隠すポーズ。

ローマ時代に作られた小像です。

上の三つのアフロディテ像についてはルーヴル美術館の「クニドスのアフロディテ」たち

下の画像は、紀元前4世紀にクニドスで発行されたコインを、20世紀にエングレービングにおこしたものです。

クニドスで発行された硬貨のエングレービング
紀元前4世紀にクニドスで発行された硬貨(20世紀のエングレービング)

引用元:紀元前4世紀にクニドスで発行された硬貨

僅かに身をよじり、恥じらうような仕草をする全裸の女神。

クニドスの人々が購入したこの女神像は当時大評判となり、噂を聞きつけた人々が女神像を観に船で押しかけたのだそうです。(私も見てみたいー)

関連記事『クニドスのヴィーナス』のモデル、フリュネ

『とかげを殺すアポロン』( statue ; Apollon Sauroctone )

『とかげを殺すアポロン』 高さ167cm 幅78cm 奥行き85cm 80年頃(プラクシテレスのオリジナルは紀元前330年頃) ルーヴル美術館蔵
『とかげを殺すアポロン』 高さ167cm 幅78cm 奥行き85cm 80年頃(プラクシテレスのオリジナルは紀元前330年頃) ルーヴル美術館蔵

引用元:『とかげを殺すアポロン』 Baldiri

ルーヴル美術館公式サイト

『とかげを殺すアポロン』( statue ; Apollon Sauroctone )

展示場所:シュリー翼、348展示室

元はイタリアのカミーユ・ボルケーゼ侯爵のコレクション。

2006年の『ルーヴル美術館展 ー 古代ギリシア芸術・神々の遺産 ー』で、『アルルのヴィーナス』『カウフマンの頭部』『クニドスのアフロディテ小像』、『酒を注ぐサテュロス』と共に来日しています。

カミーユ・ボルケーゼ侯爵の夫人は皇帝ナポレオンの妹プシューケーとクピドの物語 主な絵画とアントニオ・カノーヴァの彫刻

『酒を注ぐサテュロス』( statue )

『酒を注ぐサテュロス』 高さ144cm 幅63cm 奥行き38cm 130年頃(プラクシテレスのオリジナルは紀元前370-前360年頃) ルーヴル美術館蔵
『酒を注ぐサテュロス』 高さ144cm 幅63cm 奥行き38cm 130年頃(プラクシテレスのオリジナルは紀元前370-前360年頃) ルーヴル美術館蔵

引用元:『酒を注ぐサテュロス』 Baldiri

ルーヴル美術館公式サイト

こちらもボルケーゼ侯爵のコレクションだったもの。

『ルーヴル美術館展 ー 古代ギリシア芸術・神々の遺産 ー』には、このトルソーは「有名なオリジナルを複製した古代の一連のレプリカに属し、最も完全なコピーからはその身振りを知ることができる」とあります。

『休息するサテュロス』( statue ; Satyre au repos )

『休息するサテュロス』 身長107cm 幅64cm 奥行き32cm ローマ帝国時代(プラクシテレスのオリジナルは紀元前330年頃) ルーヴル美術館蔵
『休息するサテュロス』 身長107cm 幅64cm 奥行き32cm ローマ帝国時代(プラクシテレスのオリジナルは紀元前330年頃) ルーヴル美術館蔵

引用元:『休息するサテュロス』 Baldiri

ルーヴル美術館公式サイト

『休息するサテュロス』( statue ; Satyre au repos )

展示場所:シュリー翼、348展示室

『休息するサテュロス』は、1864年にローマのパラティーノの丘、皇帝の宮殿から出土しました。

この像のオリジナルは若いサテュロスを表わしたもので、彼は傍らの木に身をもたせかけ、右脚を遊ばせて立っていた。

高階秀爾(監修). 昭和60年7月20日. 『NHK ルーブル美術館 Ⅱ 地中海世界の輝き 古代ギリシャ / ローマ』. 日本放送出版協会. p.60.

サテュロス像の前の所有者はナポレオン3世。

ナポレオン3世(1808年4月20日-1873年1月9日) 1865年 アレクサンデル・カバネル 
ナポレオン3世(1808年4月20日-1873年1月9日) 1865年 アレクサンデル・カバネル

引用元:ナポレオン3世

ルーヴル美術館

ここに掲載した彫刻群が掲載されています。

彫刻家フランソワ・ジラルドンによる女神像の修復

ルイ14世に女神像を献上

『アルルのヴィーナス』像は、1651年、南フランスのアルルに在る古代劇場跡から出土しました。

断片で発見された彫像は修復され、その後30年間アルルの町の市庁舎を飾ります。

アルルの古代劇場(2本の柱の残る劇場跡)
アルルの古代劇場(2本の柱の残る劇場跡)

引用元:アルルの古代劇場(2本の柱の残る劇場跡) CC-BY-SA-3.0-migrated

1683年11月、女神像は、アルルの町の評議会により、当時のフランス王ルイ14世に献上されました。

翌年の5月、パリに到着した女神像は、王直属の彫刻家ジラルドンによって修復されます。

2メートルを超える高さの女神像は、ヴェルサイユ宮殿の鏡の間、その北の入り口の装飾に飾られました。

フランソワ・ジラルドンの肖像 1701年 ジョゼフ・ヴィヴィアン ルーヴル美術館蔵
フランソワ・ジラルドンの肖像 1701年 ジョゼフ・ヴィヴィアン ルーヴル美術館蔵

引用元:フランソワ・ジラルドンの肖像

ルーヴル美術館公式サイト
ルイ14世騎馬像 1699年のサロン フランソワ・ジラルドン ルーヴル美術館蔵
ルイ14世騎馬像 1699年のサロン フランソワ・ジラルドン ルーヴル美術館蔵

引用元:ルイ14世騎馬像 CC-BY-SA-2.5

ルーヴル美術館公式サイト

ルイ14世騎馬像( Louis XIV à cheval (1638-1715), roi de France )

展示場所:リシュリュー翼、105展示室

ルイ14世胸像 フランソワ・ジラルドン サン・ルー美術館蔵
ルイ14世胸像 フランソワ・ジラルドン サン・ルー美術館蔵

引用元:ルイ14世胸像 G.Garitan CC-BY-SA-4.0

『ニンフたちから身繕いを受けるアポロン』 1670年代 ジラルドン、ルニョダン作 ヴェルサイユ宮殿庭園
『ニンフたちから身繕いを受けるアポロン』 1670年代 ジラルドン、ルニョダン作 ヴェルサイユ宮殿庭園

引用元:『ニンフたちから身繕いを受けるアポロン』 CC-Zero

庭園に置かれた彫刻はジラルドンとルニョダンの共作。ルニョダンはフランスの彫刻家 Thomas Regnaudin (1622-1706)です。

ここでは『ヴェルサイユ見学ガイド』(1997)の「ルニョダン」を採用しましたが、「レグナウディン」と表記されている場合もあります。

フランソワ・ジラルドンによる「アポロンの間」の彫刻 1665年 フランソワ・ジラルドン ルーヴル美術館蔵
フランソワ・ジラルドンによる「アポロンの間」の彫刻 1665年 フランソワ・ジラルドン ルーヴル美術館蔵

引用元:フランソワ・ジラルドンによる「アポロンの間」の彫刻 Faqscl CC-BY-SA-4.0

1680年当時、ルーヴル「宮」には宮殿の管理を行う管理官や芸術家たちが住んでいました。

壮麗なヴェルサイユ宮殿にかかる出費がクール・カレ(中庭)の工事を中断させ、ルーヴル宮は中途半端な状態に置かれていました。

あれほど力を入れたはずのコロナ―ド翼など、屋根も床もまだない状態だった。もっとも空き家になったわけではない。宮殿の管理官や芸術家、職人が住み続けていた。一六八〇年にルーヴルに住んでいたのは画家のコワペル、装飾家具師 C・A・ブール、ジャーナリストのテオフラスト・ルノードーらで、宮廷画家のヴァン・ルーはアポロンの間に住み込んで描いていた。彫刻家のジラルドンとクストウは二十四人の仲間とグランド・ギャラリーにいた。

小島英熙(著). 平成6年1月20日. 『ルーヴル・美と権力の物語』. 丸善ライブラリー. p.97.

ルーヴル宮に住み着いた人たちは勝手に改装したり、クール・カレには雑多な小屋まで立っていたそうです。

コワペルの絵画『エステルの失神』はこちら新古典主義とロマン主義の融合『エステルの化粧』(シャセリオー作)

ルーヴル・美と権力の物語

ルーヴル美術館を舞台にした美の歴史。聞いたことがある人名がたくさん出てきます。

上に書いた「ルーヴル宮に住み着いた人たちが勝手に改装した」というところが妙に印象に残った(笑)。

女神像の腕、りんご

ジラルドンは女神像に両腕を付け、表面を削ったそうです。

『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Mbzt CC-BY-SA-3.0,2.5,2.0,1.0

『アルルのヴィーナス像』( statue ; Vénus d'Arles ) 高さ220cm×幅102cm×奥行き65cm 紀元前350年頃 プラクシテレス原作 ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Tangopaso

『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Alain.Darles CC-BY-SA-3.0,2.5,2.0,1.0

彼は、挙げた手を支えるように右腰の部分につけられていた支えをとり、右肩の部分のそれを髪を結ぶリボンの端に替え、おそらくは胴体の嵩に手を加えた。そして、彼は像の右手にりんごを持たせ、左手に把手付鏡をつけることで、「パリスの審判」における女神の勝利を示し、その像を、はっきりと愛と美の女神に変えたのである。

『ルーヴル美術館展 ー 古代ギリシア芸術・神々の遺産 ー』(2006) . p.174.

把手付鏡だというのは、ぱっと見、判りづらいですが、右手に持つのはりんご。

黄金の林檎(りんご)は「パリスの審判」の中で、「最も美しい女神」に与えられるアイテムです。

愛と美の女神アフロディテ(ヴィーナス)が登場する絵画にはりんごが一緒に描かれていることがありますよね。

他に真珠、ホタテ貝、鳩、薔薇なども、アフロディテの持ち物(アトリビュート)です。

アルルの町の市庁舎に飾られていた時、この像はアフロディテではなく「女神ディアナ」とされていました。

ジラルドンは像の左腕のブレスレットに着目。

『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Jean-Pol GRANDMONT CC-BY-4.0

下の画像は、上の画像の腕輪部分を拡大したものですが、一部楕円形に凹んでいることがわかります。

『アルルのヴィーナス像』( statue ; Vénus d'Arles ) 高さ220cm×幅102cm×奥行き65cm 紀元前350年頃 プラクシテレス原作 ルーヴル美術館蔵
『アルルのヴィーナス像』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アルルのヴィーナス像』 Jean-Pol GRANDMONT CC-BY-4.0

これはカボションカットをされた宝石がはめ込まれていたあとですね。

(『ルーヴル美術館展 ー 古代ギリシア芸術・神々の遺産 ー』の図録やルーヴル美術館の公式サイトだと更に判りやすいです)

このことから、ジラルドンはこの女神像をアフロディテと見なしたようです。

こうした装身具の要素は、他のアフロディテの像に見られるものである(例えば、ルーヴル・慣用番号Ma2184の《クニドスのアフロディテ》タイプを参照)。

『ルーヴル美術館展 ー 古代ギリシア芸術・神々の遺産 ー』(2006) . p.174.

Ma2184の《クニドスのアフロディテ》は、本記事内に掲載した『クニドスのアフロディテのトルソー』のこと。この像の左腕にも腕輪の痕が見られます。

『クニドスのアフロディテのトルソー』 ルーヴル美術館蔵

引用元:『クニドスのアフロディテのトルソー』 Jean-Pol GRANDMONT

ヴァチカン美術館にあるヴィーナス像(アフロディテ像)の腕にも腕輪があります。

『クニドスのヴィーナス』 紀元前4世紀半ば プラクシテレス(にもとづくローマ時代の彫刻) ヴァチカン美術館蔵
『クニドスのヴィーナス』 紀元前4世紀半ば プラクシテレス(にもとづくローマ時代の彫刻) ヴァチカン美術館蔵

引用元:『クニドスのヴィーナス』

西洋美術は「彫刻」抜きには語れない

彫刻についての書籍って少ないように思います。私が知りたい古代ギリシャ、古代ローマものに特化してはいませんが、近代のものも含めて広く見てみたい方には一読の価値があるのでは。

ルーヴル美術館展 ー 古代ギリシア芸術・神々の遺産 ー

ほんとはもっとたくさん見たい・知りたいですね。特に彫刻に関しては図録は教科書のようなものです。

図説 ギリシア神話【神々の世界】篇

古代彫刻の写真多めで解説もわかり易い。『アルルのヴィーナス』も掲載されています。

主な参考文献
  • 高階秀爾(監修). 昭和60年7月20日. 『NHK ルーブル美術館 Ⅱ 地中海世界の輝き 古代ギリシャ / ローマ』. 日本放送出版協会.
  • 小島英熙(著). 平成6年1月20日. 『ルーヴル・美と権力の物語』. 丸善ライブラリー.
  • 『ルーヴル美術館展 ー 古代ギリシア芸術・神々の遺産 ー』(2006) .
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