ルーヴル美術館で観るデュ・バリー伯爵夫人ゆかりのもの

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国王ルイ15世の愛人としてヴェルサイユに君臨したデュ・バリー夫人。彼女自身の胸像や肖像画、彼女が注文したり購入したりした作品を掲載しました。

デュ・バリー夫人胸像( Madame Du Barry (née Marie-Jeanne Bécu) (1743-1793) ) 1773年 オーギュスタン・パジュー ルーヴル美術館蔵
デュ・バリー夫人胸像( Madame Du Barry ( née Marie-Jeanne Bécu ) ,1743-1793 ) 1773年 オーギュスタン・パジュー ルーヴル美術館蔵
目次

国王ルイ15世の愛妾デュ・バリー伯爵夫人の姿

彫刻家オーギュスタン・パジューによるデュ・バリー夫人の胸像

デュ・バリー夫人胸像( Madame Du Barry (née Marie-Jeanne Bécu) (1743-1793) ) 1773年 オーギュスタン・パジュー ルーヴル美術館蔵

デュ・バリー夫人胸像( Madame Du Barry (née Marie-Jeanne Bécu) (1743-1793) ) 1773年 オーギュスタン・パジュー ルーヴル美術館蔵
デュ・バリー夫人胸像( Madame Du Barry (née Marie-Jeanne Bécu) (1743-1793) ) 1773年 オーギュスタン・パジュー ルーヴル美術館蔵

引用元:デュ・バリー夫人胸像 https://www.flickr.com/photos/internetarchivebookimages/14741679726/

デュ・バリー夫人胸像 ルーヴル美術館蔵
デュ・バリー夫人胸像 ルーヴル美術館蔵

引用元:デュ・バリー夫人胸像 VladoubidoOo CC-BY-SA-4.0

ルーヴル美術館公式サイト

ルーヴル美術館の解説によると本作品は1773年のサロンに出品され、1774年6月にルーヴシエンヌのシャトーに。その後新しいパヴィリオンに置かれたそうです。

下のリンクは、現在展示されていない胸像。先に掲載した胸像(MR 2651)のコピーだそうです。

コピー(本体番号:CH M 243)は高さ70cm、重量59㎏とのこと。

彫刻家オーギュスタン・パジュー( Augustin Pajou, 1730年9月19日-1809年5月8日)

オーギュスタン・パジュー(1730年9月19日-1809年5月8日)の肖像 1783年 アデライド・ラビーユ=ギアール ルーヴル美術館蔵
オーギュスタン・パジューの肖像 1783年 アデライド・ラビーユ=ギアール ルーヴル美術館蔵

引用元:オーギュスタン・パジューの肖像

ルーヴル美術館公式サイト

『オーギュスタン・パジューの肖像』( Portrait de Pajou, sculpteur ) , INV 27035

グラフィック・アーツ相談室で予約して閲覧可

オーギュスタン・パジューはフランスの彫刻家です。

国王ルイ15世やデュ・バリー夫人の支援を受け、ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場の室内装飾も手掛けました。

ナイショのしぐさのキューピッド(ファルコネ作)

デュ・バリー夫人胸像 1773年 高さ60cm 大理石 オーギュスタン・パジュー ワルシャワ国立美術館蔵
デュ・バリー夫人胸像 1773年 高さ60cm 大理石 オーギュスタン・パジュー ワルシャワ国立美術館蔵

引用元:デュ・バリー夫人胸像 CC-Zero

デュ・バリー夫人胸像 1772年 高さ38.1cm セーヴル磁器 オーギュスタン・パジュー メトロポリタン美術館蔵
デュ・バリー夫人胸像 1772年 高さ38.1cm セーヴル磁器 オーギュスタン・パジュー メトロポリタン美術館蔵

引用元:デュ・バリー夫人胸像 CC-Zero

メトロポリタン美術館の解説:Madame du Barry (1746–1793)

エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランによる肖像画

フランス国王ルイ15世寵姫・デュ・バリー夫人(1743年-1793年) 1781年 ヴィジェ=ルブラン フィラデルフィア美術館蔵
デュ・バリー夫人 1781年 エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン フィラデルフィア美術館蔵

引用元:デュ・バリー夫人

ルイ16世妃マリー・アントワネットお気に入りの画家ヴィジェ=ルブランによる肖像画です。

女性らしい、柔らかな雰囲気を感じます。モデルの魅力を引き出すのが上手いですよね。

この絵と同じ構図の細密肖像画がルーヴル美術館にあります。

ルーヴル美術館公式サイト

デュ・バリー伯爵夫人の肖像( Portrait de la comtesse du Barry ) , RF 5058

グラフィック・アーツ相談室で予約して閲覧可

アメリカのイザベラ・ステュワート・ガードナー美術館( Isabelle Stewart Gardner Museum )にある嗅ぎ煙草入れも参考までに。

エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン( Marie Élisabeth-Louise Vigée Le Brun, 1755年4月16日-1842年3月30日)

娘を抱いた自画像 1786年 エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン ルーヴル美術館蔵
娘ジュリーとの自画像 1786年 エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン ルーヴル美術館蔵

引用元:娘ジュリーとの自画像

ルーヴル美術館公式サイト
ヴィジェ=ルブラン胸像 1785年 パジュー作 ルーヴル美術館蔵
ヴィジェ=ルブラン胸像 1785年 オーギュスタン・パジュー ルーヴル美術館蔵

引用元:ヴィジェ=ルブランの胸像 Thomon CC-BY-SA-4.0

モデル以上に画家が美人。

パジューは他にも有名人の像を制作しています。

ジャン=バティスト・アンドレ・ゴーチエ=ダゴティによる肖像画

『コーヒーを飲むデュ・バリー夫人』 ジャン=バティスト・アンドレ・ゴーチエ=ダゴティ 1771年-1780年頃 ヴェルサイユ宮殿
『コーヒーを飲むデュ・バリー夫人』 1771年-1780年頃 ジャン=バティスト・アンドレ・ゴーチエ=ダゴティ ヴェルサイユ宮殿

引用元:デュ・バリー夫人

上の画像はヴェルサイユ宮殿にあるジャン=バティスト・アンドレ・ゴーチエ=ダゴティによる肖像画。

フランス宮廷におけるコーヒー文化のトップに立つ寵姫の姿です。

トレイを持つ黒人の小姓はザモルといい、後に革命裁判所の法廷でデュ・バリー夫人に対し、不利な証言をすることになる人物です。

コーヒーを飲むルイ15世の寵姫たちの絵 デュ・バリー夫人とポンパドゥール夫人

ルーヴル美術館の収蔵品(1771年)は、元はエドモン・ド・ロートシルト男爵のコレクションとのこと。

ルーヴル美術館公式サイト

デュ・バリー伯爵夫人( Madame la Comtesse du Barry ) , LR 6766

グラフィック・アーツ相談室で予約して閲覧可

ジャン=バティスト・グルーズによる肖像画

デュ・バリー伯爵夫人の肖像 18世紀 ジャン=バティスト・グルーズ

引用元:デュ・バリー伯爵夫人の肖像

サザビーズによる解説:Portrait of the Comtesse Du Barry

成熟したお色気たっぷりの肖像画ですね。『壊れた甕』で知られるグルーズによる作品です。

『壊れた甕』 1771年 ジャン=バティスト・グルーズ ルーヴル美術館蔵
『壊れた甕』 1771年 ジャン=バティスト・グルーズ ルーヴル美術館蔵

引用元:『壊れた甕

ルーヴル美術館公式サイト

『壊れた甕』( La Cruche cassée.) , INV 5036

展示場所:シュリー翼、932展示室

『壊れた甕』はデュ・バリー夫人によって注文・購入され、ルイ15世が亡くなるまでヴェルサイユ宮殿に飾られていました。

ルイ15世の崩御にともない、デュ・バリー夫人はヴェルサイユ宮殿を退き、ルイ15世から贈られたルーヴシエンヌのシャトーに移ります。

『壊れた甕』も夫人とともにルーヴシエンヌの城に移りました。

デュ・バリー夫人による注文『壊れた甕』(グルーズ作)

フランソワ=ユベール・ドルーエによる肖像画

『フローラに扮したデュ・バリー夫人』( Portrait de la comtesse Du Barry en Flore ) 1769年 フランソワ=ユベール・ドルーエ ヴェルサイユ宮殿
『フローラに扮したデュ・バリー夫人』 1769年 フランソワ=ユベール・ドルーエ ヴェルサイユ宮殿

引用元:『フローラに扮したデュ・バリー伯爵夫人』

デュ・バリー夫人 18世紀 エングレービング フランソワ=ユベール・ドルーエにちなむ絵 ナショナル・ギャラリー・オブ・アート蔵
デュ・バリー夫人 18世紀 エングレービング フランソワ=ユベール・ドルーエにちなむ絵 ナショナル・ギャラリー・オブ・アート蔵

引用元:デュ・バリー夫人 CC-Zero

ドルーエの乗馬服姿のデュ・バリー夫人にちなむミニアテュアがこちら

デュ・バリー夫人マリ=ジャンヌ・ベキュー( 1743年8月19日-1793年12月8日 )

下町の貧しい家庭の私生児として生まれ、お針子、娼婦を経て、国王ルイ15世の公式寵姫となったマリ=ジャンヌ・ベキュー( Marie-Jeanne Bécu )。

情夫デュ・バリーの弟と形ばかりの結婚をして貴族の身分を手に入れ、「デュ・バリー夫人」と呼ばれました。

公式の寵姫となるには既婚女性であることが必須。

前任者のポンパドゥール夫人ことジャンヌ=アントワネット・ポワソンも既婚者でした。

ポンパドゥール侯爵夫人 1700年代前半 フランソワ・ブーシェ ルーヴル美術館蔵
『ポンパドゥール侯爵夫人』 60 cm×45.5 cm 1750年代前半 フランソワ・ブーシェ ルーヴル美術館蔵

引用元:『ポンパドゥール侯爵夫人』

ルーヴル美術館公式サイト

ルーヴル美術館にある『ポンパドゥール侯爵夫人』の肖像(ブーシェ作)

ルイ15世(1710年2月15日-1774年5月10日)の肖像 モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール 1748年 ルーヴル美術館蔵
ルイ15世の肖像 60cm×54cm 1748年 モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール ルーヴル美術館蔵

引用元:ルイ15世の肖像

ルーヴル美術館公式サイト

『ルイ15世の肖像』( Portrait de Louis XV (1710-1774); roi de France. ) , INV 27615

グラフィック・アーツ相談室で予約して閲覧可

ルイ15世の食堂にかけられていた絵優雅な屋外の食事風景『狩の食事』(ド・トロワ作)

1764年4月15日、献身的にルイ15世に尽くしたポンパドゥール夫人が亡くなりました。

1768年6月24日にはルイ15世の王妃マリー・レクザンスカも亡くなります。

王妃が亡くなる少し前、ルイ15世はマリ=ジャンヌ・ベキューに引きあわされていました。

ルイ15世は若くて美しいジャンヌを寵愛し、空席となっていた公式寵姫の地位に就けます。

平民出身ではありましたが、情夫デュ・バリーが連れてくる身分ある客たちのおかげで、ジャンヌは上流階級の立ち居振る舞を身につけていきました。

気立ても良いので敵も少なく、困っているひとには率先して手を差し伸べるような優しい女性でもあったそうです。

昔読んだ『ベルサイユのばら』の印象が強く、デュ・バリー夫人は肉体美を持つワガママ高慢ちき美女のイメージだったのですが、意外に評判は悪くない? この機会に『ベルばら』を読み直し、『イノサン』でまた別のジャンヌ・ベキューの顔を見るのも面白いかも。

ルーヴシエンヌの生活

ルイ15世は愛妾であるデュ・バリー夫人にルーヴシエンヌの城や数々の宝石を贈りました。

1774年のルイ15世の崩御後ヴェルサイユ宮殿を追われたデュ・バリー夫人は、ヴェルサイユから遠く離れた場所に留まるように命じられたため、ルーヴシエンヌ城に戻ることができませんでした。

1776年10月、デュ・バリー夫人は許可を得て愛するルーヴシエンヌに戻ります。

ルーヴシエンヌのパビリオン
ルーヴシエンヌのパビリオン

引用元:ルーヴシエンヌのパビリオン David Pendery CC-BY-3.0

エントランスとサロン・デュ・ロワの断面図
エントランスとサロン・デュ・ロワの断面図

引用元:エントランスとサロン・デュ・ロワの断面図

1786年、画家エリザベート・ヴィジェ=ルブランが、デュ・バリー夫人の肖像画を描くためルーヴシエンヌを訪れます。

ヴィジェ=ルブランは当時のことをこのように回想しています。

「趣味の点でも装飾の豪華さからいっても有名な別館で毎日コーヒーを飲みました。サロンは魅力的で、窓からはすばらしい風光が楽しめました。暖炉もドアも大したもので、錠前は金細工師の傑作です。家具の優雅さは言葉ではつくすことのできないものでした」

飯塚信雄(著).1985.『デュバリー伯爵夫人と王妃マリ・アントワネット―ロココの落日』. 文化出版局 .p.162.

コーヒーを飲むルイ15世の寵姫たちの絵 デュ・バリー夫人とポンパドゥール夫人

ジャン・ミシェル・モロー(モロー・ル・ジューン)による饗宴の様子

1771年9月、ルーヴシエンヌの晩餐会 ジャン・ミシェル・モロー(モロー・ル・ジューン) ルーヴル美術館蔵
1771年9月、ルーヴシエンヌの晩餐会 ジャン・ミシェル・モロー(モロー・ル・ジューン) ルーヴル美術館蔵

引用元:1771年9月2日、ルーヴシエンヌで行われた饗宴

ルーヴル美術館公式サイト

ルーヴシエンヌの城を飾った作品

ジョゼフ=マリー・ヴィアンの連作絵画

Jeunes grecques parant de fleurs l’Amour endormi 1773年 高さ3.35m 幅 1.94m ジョゼフ=マリー・ヴィアン ルーヴル美術館蔵
Jeunes grecques parant de fleurs l’Amour endormi 1773年 高さ3.35m 幅 1.94m ジョゼフ=マリー・ヴィアン ルーヴル美術館蔵

引用元:Greek Maidens Adorning a Sleeping Cupid with Flowers

ルーヴル美術館公式サイト

Jeunes grecques parant de fleurs l’Amour endormi , INV 8431

展示場所:シュリー翼、933展示室

ルーヴシエンヌの城を飾った四枚の連作絵画のうちの一枚。

タイトルは『眠るキューピッドを花で飾るギリシャ人の少女たち』ですかね。邦題が載っている書籍が見つかったら追記、修正します。

初めはフラゴナールに依頼されましたがデュ・バリー夫人には気に入られず、ヴィアンに依頼されました。

クリストフ=ガブリエル・アレグランの彫像

『浴女(水浴から上がるヴィーナス)』 1767年 高さ 1.74m 幅 0.62m 深さ 0.675m 大理石 クリストフ=ガブリエル・アレグラン ルーヴル美術館蔵
『浴女(水浴から上がるヴィーナス)』 1767年 高さ 1.74m 幅 0.62m 深さ 0.675m 大理石 クリストフ=ガブリエル・アレグラン ルーヴル美術館蔵

引用元:『浴女』 Jastrow (2006)

ルーヴル美術館公式サイト

クリストフ=ガブリエル・アレグラン( Christophe-Gabriel Allegrain, 1710-1795)はフランスの彫刻家。

彫刻家ジャン=バティスト・ピガールの協力者であり、彼の姉妹と結婚したためアレグランはピガールの義理の兄弟でもあります。

ピガール、パジューについてはナイショのしぐさのキューピッド(ファルコネ作)

ルーヴル美術館の解説によると、『浴女(水浴から上がるヴィーナス)』は1755年、ポンパドゥール夫人の実弟であるマリニー侯爵によりショワジーの城のために依頼されました。

その後の1767年のサロンで発表され、1772年デュ・バリー夫人がルーヴシエンヌ城のために入手しました。

下は、1772年に手に入れたヴィーナス像(MR1747)の対になるものとして、デュ・バリー夫人から注文。

1778年に完成し、ルーヴシエンヌ城の庭園に置かれました。

『アクタイオンに驚くディアナ』 1778年 高さ 1.7m 幅 0.77m 深さ 1m 大理石 クリストフ=ガブリエル・アレグラン ルーヴル美術館蔵
『アクタイオンに驚くディアナ』 1778年 高さ 1.7m 幅 0.77m 深さ 1m 大理石 クリストフ=ガブリエル・アレグラン ルーヴル美術館蔵

引用元:『アクタイオンに驚くディアナ』 Jastrow (2006)

『アクタイオンに驚くディアナ」 ルーヴル美術館蔵
『アクタイオンに驚くディアナ」 ルーヴル美術館蔵

引用元:『アクタイオンに驚くディアナ」 Vania Teofilo CC-BY-SA-3.0

ルーヴル美術館公式サイト

『アクタイオンに驚くディアナ』( Diane surprise par Actéon ) , MR1746

展示場所:リシュリュー翼、105展示室

エティエンヌ=モーリス・ファルコネによる彫像

『浴女』 1757年 高さ 0.805m 幅 0.257m 深さ 0.29m エティエンヌ=モーリス・ファルコネ ルーヴル美術館蔵
『浴女』 1757年 高さ 0.805m 幅 0.257m 深さ 0.29m エティエンヌ=モーリス・ファルコネ ルーヴル美術館蔵

引用元:『浴女』 Tangopaso

ルーヴル美術館公式サイト

『浴女』( Baigneuse ) , MR 1846

展示場所:リシュリュー翼、222展示室

ファルコネのキューピッド像ナイショのしぐさのキューピッド(ファルコネ作)

その他デュ・バリー夫人のコレクション

『狩場のチャールズ1世』 1635年頃 アンソニー・ヴァン・ダイク

『狩場のチャールズ1世』 1635年頃 アンソニー・ヴァン・ダイク ルーヴル美術館蔵
『狩場のチャールズ1世』 1635年頃 アンソニー・ヴァン・ダイク ルーヴル美術館蔵

引用元:『狩場のチャールズ1世』

ルーヴル美術館公式サイト

『狩場のチャールズ1世』は著名な収集家の手を経てルイ15世によって買い上げられ、愛妾であるデュ・バリー夫人に贈られます。

その後デュ・バリー夫人からフランス国王ルイ16世に売却されました。

英国王チャールズ1世の肖像画風景の中に佇む王『狩場のチャールズ1世』(ヴァン・ダイク作)

ドレッサー(1772年頃)

デュ・バリー夫人のドレッサー 1772年 ルーヴル美術館蔵
デュ・バリー夫人のドレッサー 1772年 ルーヴル美術館蔵

引用元:デュ・バリー夫人のドレッサー G.Garitan CC-BY-SA-4.0

デュ・バリー夫人のドレッサー 1772年 ルーヴル美術館蔵
デュ・バリー夫人のドレッサー 1772年 ルーヴル美術館蔵

引用元:デュ・バリー夫人のドレッサー Tangopaso

ルーヴル美術館公式サイト

ロココ趣味たっぷりの曲線の脚が優雅。

はめ込まれた絵のオリジナルはジャン=バティスト・パテル( Jean-Baptiste Pater, 1695年-1736年)、ニコラ・ランクレ( Nicolas Lancret, 1690年-1743年)のものだそうです。

ジャン=バティスト・パテルはヴァトーの弟子ジャン=バティスト・パテルの雅宴画『イタリア喜劇の役者たちの集い』

元の所有者はロートシルト家( Rothschild, Edmond Adolphe Maurice Jules Jacques de, )で1990年に寄贈されたのだとか。割りと最近ですね。現在はヴェルサイユ宮殿に展示されているようです。

本作は磁器画家のシャルル=二コラ・ドダン(チャールズ・ニコラス・ドーディンとも表記 Charles-Nicolas Dodin, 1734年-1803年)、家具職人マルティン・カルラン(マルティン・カーラン、マーティン・カーリンとも表記 Martin Carlin, 1730年-1785年)による制作。

ドダンはフランソワ・ブーシェの作品の複製を専門とし、風景やシノワズリの絵を描いていました。

こちらのポプリ・ポットの絵付けも、シャルル=二コラ・ドダンです。

ポプリ・ポット( Pot-pourri "à vaisseau" ) 1760年頃 ルーヴル美術館蔵
ポプリ・ポット( Pot-pourri “à vaisseau” ) 1760年頃 ルーヴル美術館蔵

引用元:ポプリ・ポット Faqscl  CC-BY-SA-4.0

ルーヴル美術館公式サイト

ポプリ・ポット( Pot-pourri “à vaisseau” ) , OA 10965

展示場所:リシュリュー翼、619展示室

ドダンの絵付けによる作品18世紀セーヴル磁器絵の職人シャルル=二コラ・ドダン

ポンパドゥール夫人プロデュース宮廷金工家 J・C・デュプレシス デザインのポプリ・ポット

ティー・テーブル

手前の円いテーブルにご注目を。

デュ・バリー夫人の音楽館のティー・テーブル マルティン・カーラン作 ルーヴル美術館蔵
デュ・バリー夫人の音楽館のティー・テーブル マルティン・カーラン作 ルーヴル美術館蔵

引用元:デュ・バリー夫人の音楽館のティー・テーブル Tangopaso

ルーヴル美術館公式サイト

ティー・テーブル( Guéridon à thé du salon ovale du pavillon de musique de Madame du Barry au château de Louveciennes ) , OA 10658

展示場所:リシュリュー翼、617展示室

「ルーヴシエンヌ城の、デュ・バリー夫人の音楽館のティー・テーブル」だそうです。

解説によれば、中央プレートの絵のオリジナルはカルル・ヴァン・ローの絵画(1737年)。

そのプレートを囲む六枚のプレートですが、花飾りの中に人物が描かれています。

これは雅宴画のジャンルを確立したアントワーヌ・ヴァトーにちなむようです。

これらのプレートの作者はシャルル=ニコラ・ドダン。

「セーヴル工場で最も才能のある人物画家の 1 人であり、1754年から 1803年までそこで雇用されていた」との説明もあります。

テーブルの作者はマルティン・カルラン(カーランとも表記)です。

イニシャル入りの食器

ルイ16世の時代になってからのテーブル。

長方形のテーブル 1780年頃 マルティン・カーラン作 ルーヴル美術館蔵
長方形のテーブル 1780年頃 マルティン・カーラン作 ルーヴル美術館蔵

引用元:長方形のテーブル Tangopaso

ルーヴル美術館公式サイト

長方形のテーブル( Table rectangulaire ) , OA 10488

展示場所:リシュリュー翼、623展示室

ルーヴル美術館の解説内にデュ・バリー夫人の名前が無かったので、テーブルは夫人のコレクションではないようですが、下に置かれた容器には夫人のイニシャルがあります。

長方形のテーブル 1780年頃 マルティン・カーラン作 ルーヴル美術館蔵
テーブル下のリカー・ボトル・クーラー 1771年頃 セーヴル磁器 ルーヴル美術館蔵

引用元:長方形のテーブル Tangopaso

デュ・バリー夫人のイニシャル付きのボウル 1771年 ルーヴル美術館蔵
デュ・バリー夫人のイニシャル付きのボウル 1771年 セーヴル磁器 ルーヴル美術館蔵

引用元:デュ・バリー夫人のイニシャル付きのボウル Tangopaso

小ボウル DBの頭文字
小ボウル DBの頭文字

引用元:DBの頭文字 Tangopaso

花で飾られた「DB」はデュ・バリー夫人の頭文字です。

 ヴァンセンヌ製造所開設当時は、軟質磁器で各部をムラなく製造するのが難しく、平皿の生産は比較的少なかった。セーブルに移ってからは、生産量も増え、このデュ・バリー夫人の宴席用食器セットは少なくとも145点で構成されていた。

 食器全体は、デュ・バリー夫人の頭文字の組み合わせで飾られ、周囲には香炉と花飾りが交互に付けられている。それらのモチーフはあっさりと配置され、女性的な優雅さに満ちている。

『セーブル陶磁名品展 フランス国立セーブル陶磁美術館所蔵 1987年』.p.53.

コーヒーを飲むルイ15世の寵姫たちの絵 デュ・バリー夫人とポンパドゥール夫人

ここでは掲載しきれない作品の数々

ルーヴル美術館公式サイト

『アムール』( L’Amour ) ルイ=シモン・ボワゾ(デュ・バリー夫人のコレクション)

ルーヴル美術館公式サイト

嗅ぎタバコ入れ( Tabatière ) ピエール=フランソワ・ドレ(デュ・バリー夫人の依頼で)

「最愛の人へ マダム・デュ・バリー」の碑文有り

「おそらく恋人だったヘンリー・シーモア卿」宛て?(参考記事「アート写真」:ピエール=フランソワ・ドレ(嗅ぎ煙草入れ)

ルーヴル美術館公式サイト

『ヴィーナスの化粧』( La Toilette de Vénus ) ジャン・オノレ・フラゴナール

グラフィック・アーツ相談室で予約して閲覧可

ルーヴル美術館公式サイト

ヴィアンの連作絵画のひとつ。アート額装

ルーヴル「宮」に住んでいた芸術家たちの中に、ファルコネやジラルドン、コワペル、ブーシェ、ヴァン・ローの名前も見られます

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